ミュージカル感想健忘録

レミゼを中心とした観劇記録を書き留めるため

福井バルと川口ジャベ 〜一途な男達のすれ違い対決〜

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はじめての福井バルジャンと川口ジャベールの組み合わせでした。この日の川口ジャベール、私がどストライクに胸を貫かれた演技と歌い方でした。

福井さんのバルジャンは、人間味がありました。ヤンさんの慈愛に満ちたバルジャンも大好きですし、吉原さんの荒々しいバルジャンも大好きです。でもこのお二人は聖人過ぎる!笑

普通の人が、飢えに苦しんだ果てに強盗して、残した家族が心配で脱獄を繰り返し、長い年月で心がすさんじゃって、自分のために強盗しちゃったけど司教様に諭されて、ヒトの心を思い出して改心したんだ、という流れ。どこにでもいる世の中の8割の人に当てはまるような心の流れがスムーズ過ぎて泣きました。

ヤンさんと吉原さんは、スター性というか聖者というか、なんかこう、普通の人じゃないカリスマ的な素質がバンバン光ってるんです。福井さんにカリスマ性がないって話ではないのですが、自分もバルジャンのような人に成れるかな、って思いたくなる人物像でした。

(ヤンさんは3回も観てるから余計に、聖者や仙人感を感じちゃって信仰対象的な崇高さがあります。成れそうな人ではなく、目指したい人)

 

ヤンさんが聖者タイプなので、砦にいる学生すべてを救いたい!という慈愛であふれてます。福井さん吉原さん、とくに福井さんは砦ではマリウスしかみてません。

アンジョルラスが砦でバルジャンが救ってくれたことを感謝する場面。「そんなことよりあのスパイ ジャベール〜」他バルより、そんなこと感が強過ぎます。ヤンさんだと、ジャベールを救うために申し出てる感がありますが、福井バルはホントに殺しそうな強気を感じます。でも殺さない。砦にいるのも職務だからだろう、殺されるのは忍びないし、俺はマリウスを守ることに必死なんだよって彼から感じました。ジャベールにも眼中にないんです。

慈愛に溢れたヤンさんの演技に泣いた人間ですが、マリウスしか見てない福井バルジャンに人間臭さを感じ泣きました。だって人間、大切にできる人の数って限られてると思うんです。残念ながら。マリウスだけは助ける!私の命に代えても!っていう熱い心が伝わってきてほろり。

このマリウスしか見てない福井バルジャンに、川口ジャベールが下水道で邂逅。川口ジャベールは福井バルジャンにご執心なのに、福井バルジャンの心にはマリウスを救うことしか頭にない。眼中にないから「またも職務の奴隷かっ!」他バルより激しい。マリウスを早く医者に連れて行きたいんだ!君に付き合う時間はないのだ!って言わんばかり。

ジャベールが去り際に「待つぞ、24653」と言っても振り返らないでマリウスの顔をみてました。もうマリウスの容態しか気にしてません。

他バルだと、振り返って見つめたり悲しい顔ををするのですが、福井バルジャンはここでもアウトオブ眼中です。

もう哀れ。ジャベールが哀れ過ぎて、思い出し泣きしてますよ今。バルジャンに妄執しているジャベールに、コゼットとマリウスしか頭にないバルジャン。一途な男同士なのに、気持ちが一方方向で互いの気持ちは絶対に邂逅しない。

この絶対に気持ちが交差しない男同士の対決。また2019年も観たいな……。はぁ。もっとこの2人の人間臭さ対決見たかった。くっ。